海外駐在時の厚生年金

海外勤務者の厚生年金の取り扱いですが、下記のようになります。

 

海外駐在時の厚生年金

 

海外駐在となる場合、日本の会社に籍を置いたまま、現地法人に出向する『在籍出向』と、日本の親会社との雇用契約を終了したうえで、海外拠点に出向する『移籍出向』の2つのパターンに分かれます。

 

移籍出向のケース

移籍出向の場合、日本における雇用関係が消失するため、厚生年金の被保険者資格を継続することが出来ません。

 

この場合、滞在国の年金制度に加入することになります。後ほど触れますが、国によっては、日本の年金加入期間と現地での年金加入期間を合算することが出来ます。

 

たとえば、日本で20年、アメリカで10年加入していた場合、通算30年と計算されます。日本だと、年金をもらうためには25年加入している必要があるため、日本での加入期間だけでは足りませんが、アメリカでの加入期間と合算すると、受給資格を満たすため、年金をもらうことが出来ます。

 

受給額は、それぞれの国において、加入期間に応じてもらうことになります。(上記の例だと日本から20年間分、アメリカで10年間分ということになります。)

 

在籍出向のケース

日本の会社に籍を置いたまま出向する場合、給与が日本の出向元から支払われていれば、雇用関係が継続しているとみなされるため、厚生年金の被保険者資格が継続することになります。

 

この場合、支払われている賃金をもとに保険料が算出されるため、給与の一部のみが出向元から支払われている場合、保険料の負担は少なくなることになります。その分、将来の年金受給額も減ることになります。

 

在籍出向でも給与が日本の出向元から給与を受け取らない場合(出向先の海外法人から全額支給される場合)、雇用契約が継続していないとみなされる可能性もあり、その場合、厚生年金の被保険者資格は喪失します。

 

扶養家族を日本に残して海外に駐在する場合

厚生年金の被保険者資格がないけど、現地には単身赴任で、家族は日本に残るといった場合に、扶養家族の年金について対応策を考える必要があります。

 

具体的には海外に住んでいても日本国籍を持つ25?65歳未満の人であれば、誰でも加入出来る国民年金の任意加入制度を利用するのが一般的です。この制度を利用すると、国民年金の被保険者資格を取得することが出来ます。

 

厚生年金の二重支払いについて

海外勤務者は、原則として駐在先においても、その国の社会保障制度に加入することが義務づけられています。

 

在籍出向で、日本の厚生年金保険者資格を維持した状態だと、日本と海外で二重に年金を支払うことになってしまいます。また、加入期間の短い国においては、年金給付が受けられず、保険料が掛け捨てになるという問題も発生します。

 

ただし、この問題を解決するために、社会保障協定という2ヶ国協定の締結が進められており、協定対象国に出向する場合、駐在期間が5年以内であれば、現地での社会保障制度加入が免除され、日本の年金制度のみに加入することになります。(ドイツ、韓国など、一部の国では8年が上限となっています。)

 

5年(8年)以上の長期滞在となる場合には、現地の年金制度に加入することになります。

 

ただし、日本が社会保障協定を結んでいる国は、現在協議中のものを含めても26ヶ国(2014年12月現在)。赴任先によっては、二重負担を強いられるケースが発生してしまうのが現状です。